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都市部と地方で事業者数・対応エリアがどう違うか

Published
作成日: 2026年7月6日
Updated
最終更新日: 2026年7月7日

訪問理美容・出張美容サービスにおける都市部と地方の事業者数・対応エリアの違いを、厚労省の制度根拠と自治体条例の実例(東京都・群馬県・千葉県)を比較しながら解説するガイド記事。

01結論:対応エリアの範囲は都道府県・市区町村の条例によって違う

訪問理美容(出張理容・出張美容)は誰でもどこでも受けられるわけではなく、対応可能な条件は都道府県ごとの条例で異なる。これが「都市部と地方で違う」と感じる最大の理由だ。

理容師法施行令第4条第1号・美容師法施行令第4条第1号では、出張理容・出張美容を行える場合が全国共通の基準として定められている。厚生労働省の通知(平成28年3月24日 生食衛発0324第1号)によれば、国が定める対象は大きく2類型で、(1)疾病・負傷・障害・寝たきり等により理容所・美容所に来ることが困難な者、(2)乳幼児の育児中または重度要介護者の介護中で外出が困難な者、である。

ただしこの通知には「都道府県等が条例で別に定めることを妨げるものではない」と明記されている。つまり国の基準はあくまで最低ラインで、実際にどこまで対応エリア・対象者を広げるかは都道府県(保健所設置市を含む)の条例に委ねられている。この「条例による上乗せ」の有無・内容が、都市部と地方の対応エリアの差を生む制度的な根拠になっている。

対応エリアは条例によって違う

02地方は「へき地条項」を条例に明記しやすい実例:群馬県のケース

地方の条例では、都市部にはあまり見られない「へき地・過疎地域の居住者」を独立したカテゴリとして明記している例がある。

群馬県(前橋市・高崎市を除く地域が対象)では、出張理容・出張美容を行う際に管轄の保健福祉事務所への事前届出が必須で、届出済証の有効期間は最長1年とされている。対象ケースの中に「付近に理容所・美容所がないへき地に居住している者から求めがあった場合」という項目が明記されており、これは疾病等による来所困難とは別の、地理的な条件そのものを理由とする独立カテゴリだ。

このほか養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・グループホーム・デイサービス利用者なども対象に含まれる。過疎地域を多く抱える地方自治体では、店舗まで物理的に距離がある住民を条例上明確に救済する仕組みを持たせているケースがある、と理解しておくとよい。

03都市部にも「山間部条項」は存在する:東京都のケース

「都市部だから訪問理美容の対応エリアが狭い」と単純に言えるわけではない点にも注意したい。東京都保健医療局が公表している出張理容・出張美容の対象は次の5類型である。

  1. 疾病その他の理由により理容所・美容所に来ることが困難な者
  2. 婚礼その他の儀式に直接関連して理容・美容を行う場合
  3. 山間部その他の理容所・美容所がない地域に居住する者
  4. 社会福祉施設に収容されている者に対して行う場合
  5. 演劇その他の興行に直接関連して理容・美容を行う場合

注目すべきは3番目の「山間部その他の理容所・美容所がない地域に居住する者」という項目が、東京都の条例にも存在することだ。東京都は奥多摩町・檜原村など山間部を抱えており、都内であっても地域によっては地方と同様の「店舗がないエリア」に該当しうる。つまり「都市部=対応エリアが広い、地方=対応エリアが狭い」という単純な図式ではなく、同じ都道府県内でも行政区域によって扱いが変わりうる、という理解が実態に近い。

04都道府県ごとに条文の書きぶりが異なる:千葉県との比較

条例の対象範囲は都道府県ごとに書きぶりが異なり、統一されていない。千葉県が公表している出張理容・出張美容の対象は次の5類型だ。

都道府県へき地・山間部の独立条項その他の主な対象
東京都あり(山間部等で理容所・美容所がない地域の居住者)疾病等/婚礼儀式/社会福祉施設/演劇興行
群馬県あり(付近に理容所がないへき地の居住者)疾病等/福祉施設(特養・グループホーム等)
千葉県明記なし疾病等/婚礼儀式/上陸できない船舶乗船者/福祉施設/演芸興行

千葉県の条文には東京都・群馬県のような「へき地・山間部」の独立項目が見当たらない一方、「上陸することができない船舶に乗っている者」という沿岸部らしい類型が含まれる。これは地域の地理的特性が条例の書きぶりに反映されている一例だ。このように、同じ「出張理容・出張美容」でも都道府県によって対象条文の構成が異なるため、自分の住むエリアでどう扱われるかは管轄の保健所・自治体窓口に個別確認するのが最も確実である。

05「事業者数の地域差」は公的統計だけでは断定できない

「都市部と地方で訪問理美容の事業者数が何倍違うか」という具体的な地域別統計は、厚生労働省・自治体の公開情報からは確認できなかった。断定的な数値比較をこの記事で示すことは避けるが、業界動向として押さえておきたい点が一つある。

民間調査(株式会社Review、PR TIMES掲載)によれば、店舗を構える理美容室の開業数は2022年の8,608件から2024年には6,093件へと減少傾向にある一方、店舗を持たない訪問特化型の開業(美容所開設届が不要なケースを含む)が増えているとされる。65歳以上人口比率が29.3%(2024年10月時点)に達する中で、業界全体が「店舗で待つ」から「地域に出向く」へとシフトしているという指摘だ。

ただしこれは全国の開業数全体の推移であり、都市部・地方別の内訳ではない。また訪問特化型の事業者は美容所としての開設届が不要なケースがあり、公式統計そのものに事業者数が正確に反映されにくいという構造的な限界もある。「地方だから事業者が少ない」と一律に判断せず、実際に地域を指定して事業者を検索し、個別に対応可否を確認することが確実な方法だ。

06医療的ケアが必要な場合の相談先(対象外の範囲)

訪問理美容はあくまで理容・美容(散髪、シェービング、パーマ、ヘアカラー、フットケアの角質ケアなど)を出張で提供するサービスであり、医療行為や医療的な処置は対象外である。

爪切りや角質ケアであっても、糖尿病による血流障害・感染症のリスクがある爪や皮膚の異常、褥瘡(床ずれ)がある部位への対応などは、理美容師の業務範囲を超える。こうした医療的ケアが必要な場合は、訪問理美容の事業者ではなく、かかりつけ医・訪問看護ステーション・訪問介護事業所に相談してほしい。持病や皮膚状態に不安がある場合は、訪問理美容を依頼する前に主治医や担当ケアマネジャーに相談し、施術可否について確認しておくと安心だ。

07対応エリアを確実に確認する手順

以上を踏まえると、都市部・地方を問わず「自分の地域で訪問理美容が使えるか」を確認する最も確実な手順は次の通りだ。

  1. まず本サイトの「地域から探す」ページで、自分の市区町村を含むエリアに対応する事業者を検索する
  2. 検索結果に事業者が見つかったら、公開されている対応エリア・出張範囲の記載を確認する
  3. 記載だけで判断がつかない場合(山間部・離島・行政区域の境界付近など)は、事業者に直接問い合わせて自宅住所が対応エリア内かを確認する
  4. 疾病・要介護状態などの利用条件がある場合は、その旨も併せて伝え、対応可否と施術メニュー・出張距離による条件を確認する

条例上の対象区分や対応エリアの線引きは自治体・事業者によって異なるため、検索結果だけで判断せず、最終的には事業者への直接確認を経ることをすすめる。

08都市部・地方それぞれで探すときのコツ

事業者数や対応エリアには地域差がありますが、都市部と地方でそれぞれ探し方を工夫すると、条件に合う事業者を見つけやすくなります。

都市部では、比較的多くの事業者が営業している一方で、営業エリアが特定の区や市に限定されていることもあります。所在地が近くても営業エリアに自宅・施設が含まれていなければ対応できないため、地域の条件を細かく設定して絞り込み、複数の候補を比較検討するとよいでしょう。

地方では、事業者数が都市部より少ないことがあり、1つの市区町村だけでは対応事業者が見つからない場合があります。その場合は、隣接する市区町村まで地域の条件を広げて検索してみてください。営業エリアが広い事業者であれば、少し離れた地域からでも訪問対応してもらえることがあります。それでも見つからない場合は、お住まいの自治体の高齢福祉窓口や地域包括支援センターに、地域の訪問理美容事業者や助成制度について相談する方法もあります。

09自治体の助成制度にも地域差がある

事業者数や対応エリアだけでなく、自治体が実施する訪問理美容の助成制度にも地域差があります。多くの市区町村が、在宅の高齢者を対象に訪問理美容の費用の一部を助成する独自事業を設けていますが、対象となる年齢・要介護度、助成の方法(利用券の交付、費用の一部補助など)、年間の利用回数の上限は自治体ごとに大きく異なります。助成制度自体がない自治体もあります。

こうした助成制度は、介護保険の給付とは別の、自治体単独の高齢者福祉施策として実施されているものです。都市部か地方かにかかわらず、お住まいの市区町村に制度があるかどうか、あるとして自分(家族)が対象になるかは、自治体の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センター、担当のケアマネジャーに確認するのが確実です。事業者を探す前にこの点を押さえておくと、助成の対象メニューに対応している事業者かどうかも、選ぶ際の視点に加えられます。

10エリアの広さと料金・対応の関係も確認する

都市部と地方では、対応エリアの範囲だけでなく、出張にかかる料金や対応のされ方にも違いが出ることがあります。

地方で営業エリアが広い事業者の場合、遠方への訪問には出張費・交通費が別途かかることがあります。訪問理美容・出張美容は介護保険の対象外の自費サービスであり、料金は施術メニューや出張距離によって変わるため、エリアの境界付近や離れた地域から依頼する場合は、出張費が発生する条件を事前に確認しておくとよいでしょう。

一方、都市部では事業者が多い分、複数の候補から比較して選べるという利点があります。営業エリア・対応メニュー・対応可能な状態・資格や届出を横並びで比較し、条件に合う事業者を絞り込むとよいでしょう。いずれの地域でも、具体的な料金や対応可否は事業者ごとに異なるため、検索で候補を絞ったあとは事業者へ直接確認することが大切です。地域による違いを過度に気にするよりも、実際に対応可能な事業者を見つけて条件を確かめることが、確実な利用につながります。

11まとめ:地域差を踏まえつつ、営業エリアは事業者に確認する

出張理容・出張美容が認められる対応エリアの範囲は、都道府県・市区町村の条例によって書きぶりが異なり、地方には「へき地条項」、都市部にも「山間部条項」が存在するなど、一律ではありません。事業者数の地域差についても、公的統計だけで断定することは難しいのが実情です。

重要なのは、こうした地域差を理解したうえで、最終的には個々の事業者の営業エリアを直接確認することです。介護りびようさーちでは、自宅・施設の住所から営業エリア内の事業者を検索できます。地域で見つからない場合は隣接する市区町村まで条件を広げたり、自治体の高齢福祉窓口に相談したりする方法もあります。医療的ケアが必要な場合は本サービスの対象外であるため、かかりつけ医や訪問看護に相談してください。

12よくある質問:地方では選択肢が少なく不安なとき

地方にお住まいで「対応してくれる事業者が少ないのではないか」と不安に感じる方もいます。たしかに、訪問理美容・出張美容は事業者が出張先ごとに保健所へ届出を行う仕組みのため、地域によって対応事業者数に差があります。しかし、いくつかの方法で選択肢を広げられます。

まず、市区町村単位ではなく、隣接する市区町村や周辺地域まで条件を広げて検索してみてください。営業エリアが広い事業者であれば、少し離れた地域からでも訪問対応してもらえることがあります。次に、お住まいの自治体の高齢福祉窓口や地域包括支援センターに相談すると、地域の訪問理美容事業者や自治体の助成制度の登録事業者を案内してもらえることがあります。要介護認定を受けている方であれば、担当のケアマネジャーが地域の事業者情報を把握していることもあります。

条件に合う事業者が限られる場合でも、複数の連絡先を確保しておくと、都合が合わないときの代替になります。事業者が見つかったら、営業エリアに自宅・施設が確実に含まれるか、出張費の有無を確認してから依頼するとよいでしょう。

いずれにしても、都市部・地方という大きな区分だけで判断せず、実際に自宅・施設が営業エリアに含まれる事業者を見つけて、対応可否や費用を個別に確認することが、確実な利用への近道です。地域差は「探し方を工夫する理由」であって、「利用をあきらめる理由」ではありません。

FAQ

このガイドのよくある質問

いいえ、都市部かどうかではなく、疾病・障害・要介護状態などにより理容所・美容所へ来ることが困難かどうかが国の基準の中心です。加えて婚礼儀式・社会福祉施設入所・山間部居住など、都道府県の条例で定める類型に該当するかどうかも影響します。都市部でも条件を満たさなければ対象外となる場合があるため、事業者に個別確認してください。
群馬県のように「付近に理容所・美容所がないへき地に居住している者」を独立した対象カテゴリとして条例に明記している自治体もありますが、これは都道府県ごとの条例の書きぶりによります。すべての地方自治体が同じ条項を持つわけではないため、居住地を管轄する保健所や自治体の生活衛生担当窓口に確認するのが確実です。
あります。東京都の条例にも「山間部その他の理容所・美容所がない地域に居住する者」という項目があり、同じ都道府県内でも行政区域によって扱いが異なりうることを示しています。都市部・地方という単純な区分ではなく、居住する市区町村の実情に応じて確認することが重要です。
訪問理美容はあくまで理容・美容の範囲のサービスであり、医療行為や医療的な処置は対象外です。糖尿病による血流障害がある爪、感染症の疑い、床ずれ(褥瘡)がある部位などは、理美容師の対応範囲を超えるため、かかりつけ医や訪問看護ステーション、訪問介護事業所に相談してください。
都市部と地方で事業者数を直接比較できる公的統計は確認できませんでした。店舗を持たない訪問特化型の開業は公式統計に反映されにくい構造もあるため、断定的な比較は難しいのが実情です。地域ごとの実態は本サイトの地域検索で個別に確認することをおすすめします。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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