「散髪と分かると嫌がって、この前は途中で手がつけられなくなった」。認知症のご家族の理美容について、こうした経験をお持ちの方は少なくありません。伸びた髪をなんとかしてあげたいのに、本人が受け入れてくれるか分からない。この不安が、依頼をためらわせる一番の理由になっています。
最初にお伝えしたいのは、認知症の方への対応は、訪問理美容の得意分野の一つだということです。国の通知でも、認知症は出張理美容の対象となる状態として明示されており、訪問の現場では認知症の方への施術が日常的に行われています。認知症理解を学ぶ研修(訪問福祉理美容師の認定研修など)を受けた施術者もいます。
うまく進める鍵は4つです。(1) 事前情報:ご本人の性格・嫌がるきっかけ・落ち着く話題を事前に施術者へ伝える。(2) 環境:ご本人が落ち着ける時間帯と場所を選ぶ。(3) 声かけ:一つずつ、見せてから、急がずに進めてもらう。(4) 無理しない:嫌がったら中断するルールを最初に決めておく。
この記事では、認知症の方にとって理美容が難しくなる理由から、4つの鍵の具体的な実践方法、そして「続けるほど楽になる」理由までを順に解説します。一度の失敗で諦める必要はありません。準備を変えれば、結果は変わります。なお、認知症の進行度や日によって状態は変わるものです。前回うまくいかなかったからといって、今回も同じとは限りません。

