「もうベッドから起こすのも大変だから、散髪は無理だろう」。寝たきりのご家族を介護する方から、よく聞く諦めの言葉です。ですが、先に結論をお伝えします。ベッドに寝たままのカットは可能です。訪問理美容の施術者にとって、ベッド上のカットは特別な例外ではなく、日常的に行っている施術の一つです。
方法はシンプルで、ベッドの背上げ(ギャッチアップ)や横向きの体位を組み合わせて、頭の向きを変えながら少しずつ切り進めます。仰向けのままでも、頭を左右に向けてもらえれば、サイドと後頭部にハサミを入れられます。完璧なスタイリングを一度で目指すのではなく、ご本人の負担のない範囲で「清潔で快適な長さ」に整えることが、ベッド上カットの基本的な考え方です。
依頼前に確認しておきたいのは次の4点です。(1) 体位:背上げがどこまでできるか、横向きになれるか。(2) 養生:枕元やシーツ、背中に毛を残さない段取り。(3) 体調:皮膚の弱さ、拘縮(関節が固まっていること)、痛みの有無。(4) 機器:在宅酸素や点滴などの医療機器があるか。
この記事では、寝たままでも切れる仕組みから、体位の組み立て、毛の始末、体への配慮、医療機器がある場合の相談まで、順に解説します。なお、洗髪も寝たままで可能です(持参の洗髪槽を使う方法など)。カットと合わせて頼みたい場合は、洗髪に関する記事もあわせて参考にしてください。

