メインコンテンツにスキップ
介護りびようさーち
訪問理美容を知る

訪問理美容を利用できる条件の確認ポイント

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月8日

訪問理美容を利用できる条件を確認するポイントを解説。国の通知が示す対象(疾病・要介護等で来所困難な方など)への当てはめ方、条例による地域差、判断に迷うケースの考え方、事業者・保健所への聞き方まで整理します。

01結論:判断の軸は「理容所・美容所に来ることが困難かどうか」

「訪問理美容を頼みたいけれど、うちの場合は対象になるのだろうか」。この不安から問い合わせをためらっているご家族は少なくありません。先に結論をお伝えすると、対象かどうかの判断の軸はただ一つ、「理容所・美容所(お店)に来ることが困難な事情があるか」です。そして、その困難さの代表例として国の通知が挙げているのが、疾病・骨折・認知症・障害・寝たきり等の要介護状態です。要介護認定を受けている方や、車椅子・寝たきりで外出が難しい方は、対象に該当する可能性が高いと考えてよいでしょう。

訪問理美容の対象になるかを3ステップで確認するフロー図

さらに知っておきたいのは、対象の範囲が地域によって少し異なることです。国の通知が示す対象に加えて、都道府県などの条例で、社会福祉施設の入所者やへき地にお住まいの方などが対象に追加されている地域があります。つまり「全国共通の基本」と「地域ごとの上乗せ」の二階建てになっているのです。

だからこそ、自己判断で「うちは無理だろう」と諦めるのはもったいない選択です。確認の手順はシンプルで、(1) ご本人の状態を整理する、(2) 事業者に状態を伝えて対象になるか聞く、(3) 制度を正確に知りたければ保健所に確認する、の3ステップ。この記事では、国の通知の内容、地域差の実例、判断に迷うケースの考え方、そして具体的な聞き方までを順に解説します。

02なぜ「対象」が決められているのか:店舗施術の原則

そもそも、なぜ訪問理美容には「利用できる条件」があるのでしょうか。カットを自宅でしてもらうだけなのに、と不思議に感じる方も多いと思います。

理由は、理容師法・美容師法が「施術は理容所・美容所で行う」ことを原則としているからです。理容所・美容所は、開設時に保健所へ届出をして、構造や設備、消毒の体制などについて衛生基準を満たしていることを確認された施設です。ハサミやカミソリといった刃物を使い、複数の人に続けて施術する理美容は、衛生管理を誤ると皮膚のトラブルや感染症につながりかねないため、「衛生が確保された場所で行う」ことが法律の基本的な考え方になっています。

そのうえで、お店に来たくても来られない人が理美容の機会を失わないように、法令と条例が例外として認めているのが出張理美容(訪問理美容)です。例外である以上、「誰でも・どこでも」ではなく、「来所が困難な事情のある方」に対象が絞られている、という構造です。

この背景を知っておくと、対象確認の意味が変わって見えてきます。条件の確認は「利用を制限するための審査」ではなく、「衛生と安全を保ちながら、必要な人にサービスを届けるための仕組み」です。また、出張施術を行う理容師・美容師には店舗と同等の衛生措置が求められており、制度に沿って活動している事業者を選ぶことが、ご本人の安全を守ることに直結します。対象確認と事業者選びは、同じ「安心」のための両輪だと考えてください。

03国の通知が示す対象(1):疾病・要介護等で来所が困難な方

対象の中身を具体的に見ていきましょう。厚生労働省の通知(平成28年3月24日 生食衛発0324第1号)は、出張理容・出張美容の対象を整理しており、その中心が「疾病、骨折、認知症、障害、寝たきり等の要介護状態にあり、社会通念上、理容所・美容所に来ることが困難と認められる方」です。

ポイントは2つあります。1つめは、列挙されている状態が幅広いことです。寝たきりの方だけでなく、骨折で一時的に外出できない方、認知症で店舗での施術が難しい方、障害のある方も含まれています。「一時的な状態」でも対象になり得るのは見落とされがちなポイントで、たとえば骨折で数か月間外出できない間に髪が伸びて困っている、という場合も相談できます。

2つめは、「社会通念上、来ることが困難」という判断の物差しです。これは「物理的に一歩も外に出られない」という意味ではありません。介助があれば外出はできるけれど、本人の身体的・精神的負担が大きい、付き添いの確保が難しい、店舗の椅子に長時間座っていられない、といった事情を総合して、常識的に見て店舗へ通うのが難しいかどうかで判断されます。

ご家族としては、「歩けるから対象外かも」と形式的に考えるのではなく、実際の外出のしづらさを具体的に整理しておくことが大切です。「要介護2で、外出には車椅子と付き添いが必要」「認知症があり、慣れない場所では落ち着かなくなる」のように、状態を言葉にできれば、事業者への確認がスムーズに進みます。

04国の通知が示す対象(2):介護や育児で外出が難しい方

国の通知にはもう一つ、見落とされがちな対象があります。それは、施術を受けるご本人ではなく「介護や育児をしている側」の方です。

通知では、自宅等で常時、乳幼児の育児や重度の要介護状態にあるご家族の介護を行っている方で、ほかに代わってくれる人がおらず、家を留守にするとご家族の安全を確保できない場合が対象として示されています。分かりやすく言えば、「介護で家を空けられず、自分が美容室に行けない」という介護者ご自身も、訪問理美容を利用できる可能性があるということです。

在宅介護を続けていると、ご自身の身だしなみはどうしても後回しになりがちです。数時間の外出もままならない状況で、髪を切りに行けないまま何か月も経ってしまった、という話は珍しくありません。そんなとき、要介護のご本人の施術に合わせて、介護しているご自身のカットも一緒にお願いする、という使い方が考えられます。同じ訪問の機会にまとめて施術を受けられれば、事業者にとっても効率がよく、相談に応じてもらいやすい依頼の仕方です。

問い合わせの際は、「母の介護で家を空けられないのですが、母のカットと一緒に私も切ってもらうことはできますか」のように、介護の状況と希望をそのまま伝えてください。対象に該当するかの判断も含めて、事業者が確認してくれます。介護者自身のケアは、介護を長く続けるための大切な土台です。遠慮せずに相談してみてください。

なお、介護者ご自身の利用が対象になるかの細かな判断は、地域や事業者によって差があり得ます。まずは「介護で外出できない」という事情をそのまま伝えることが出発点です。ダメ元と思わず、選択肢の一つとして覚えておいてください。

05条例による地域差:東京都の実例で見る「上乗せ」の対象

国の通知が示す対象に加えて、都道府県や保健所を設置する市は、条例で独自に対象を定めることができます。ここが「地域により異なる」と言われる部分です。

実例として東京都を見てみましょう。東京都は、出張理容・出張美容が認められる場合として、(1) 疾病その他の理由で理容所・美容所に来ることができない方、(2) 婚礼などの儀式の直前の施術、(3) 山間部などのへき地にお住まいの方、(4) 社会福祉施設に入所している方、(5) 演劇などの出演の直前の施術、を挙げています。国の通知の内容に加えて、へき地や社会福祉施設の入所者が明示されているのが分かります。

特に「社会福祉施設の入所者」が対象として明確に位置づけられていることは、老人ホームやグループホームに入居中のご家族に訪問理美容を頼みたい方にとって重要な情報です。施設での出張理美容が広く行われている制度的な裏付けがここにあります。

ただし、これはあくまで東京都の例です。ほかの道府県や保健所設置市では、対象の定め方や運用が異なる場合があります。婚礼前の出張着付けとヘアセットのような儀式関連の扱いも、地域の条例によって異なることがあります。お住まいの地域の正確な取り扱いを知りたい場合は、地域を管轄する保健所に問い合わせるのが確実です。「◯◯市で、要介護の母に訪問理美容を頼みたいのですが、対象になるか教えてください」と聞けば、制度上の位置づけを案内してもらえます。

06判断に迷いやすいケースの考え方

実際のご相談では、「対象になるか微妙」と感じるケースがよくあります。代表的なパターンごとに考え方を整理します。

要介護認定を受けていない・要支援の場合:要介護認定は対象の絶対条件ではありません。判断の軸はあくまで「来所が困難かどうか」なので、認定がなくても、疾病や障害、体力の低下で外出が難しい事情があれば対象になり得ます。状態を具体的に伝えて事業者に相談してください。

歩けるけれど外出の負担が大きい場合:「社会通念上困難」の判断なので、介助の必要性、移動中・施術中の負担、付き添いの確保の難しさなどを総合して考えます。心臓や呼吸器の持病で長時間の外出が難しい、店舗で長く座っているのがつらい、といった事情も判断材料になります。

認知症の初期で、外出自体はできる場合:慣れない場所への不安や施術中のじっとしていることの難しさなど、店舗での施術が現実的に難しい事情があれば相談の余地があります。ご本人が落ち着ける自宅での施術は、認知症の方にとって大きなメリットでもあります。

「外出が面倒」なだけの場合:単に店舗へ行くのが面倒という理由だけでは、出張理美容の対象にはなりません。ここは制度の線引きとしてはっきりしています。

迷ったら、状態をありのままに伝えて事業者に判断を仰ぐのが最善です。事業者は制度の枠内でサービスを提供する責任があるため、対象かどうかの見極めに慣れています。複数の事業者に同じ状況を伝えて答え方を比べてみるのも一つの方法ですし、確認した内容と回答をメモしておくと、保健所に相談するときにも話が早くなります。

07確認の実務:事業者への伝え方と保健所への聞き方

対象になるかの確認は、むずかしい制度の勉強ではなく、「状態を整理して、聞く」だけの作業です。実務の手順をまとめます。

まず、ご本人の状態を4点セットで整理します。(1) 年齢と要介護度(認定がなければ生活の様子)、(2) 外出が難しい理由(疾病名・障害・認知症・寝たきり等)、(3) 移動の手段(車椅子・寝たきり・介助歩行)、(4) 希望する施術。この4点をメモにしておけば、問い合わせは数分で済みます。

事業者への聞き方の例:「82歳の母の訪問カットをお願いしたいです。要介護3で認知症があり、外出には車椅子と付き添いが必要です。訪問の対象になりますか」。このように状態を先に伝えれば、対象になるかどうかの判断を事業者が一緒にしてくれます。介護りびようさーちのAI相談で、伝える内容を事前に整理しておくのもおすすめです。

保健所に確認したい場合は、お住まいの市区町村名と状況を伝えて、「出張理容・出張美容の対象になるか確認したい」と聞きます。保健所は出張理美容の届出や衛生指導を担当している窓口なので、地域の条例に基づいた正確な回答が得られます。どこの保健所が管轄か分からなければ、市区町村の代表窓口で聞けば案内してもらえます。

なお、確認の結果が曖昧なまま強引に契約を進める事業者があれば、そこは避けるべきサインです。制度を正しく理解している事業者は、対象かどうかの確認を面倒がらずに一緒に行ってくれます。

08まとめ:3ステップで確認すれば、迷わず次に進める

訪問理美容を利用できる条件の確認は、次の3ステップに集約されます。

  1. 状態の整理:要介護度・外出が難しい理由・移動手段・希望する施術の4点をメモにする
  2. 事業者への確認:状態を伝えて「訪問の対象になりますか」と聞く。判断は事業者が一緒にしてくれる
  3. 制度の確認(必要なら):正確な制度上の取り扱いは、地域を管轄する保健所へ

判断の軸は「理容所・美容所に来ることが社会通念上困難かどうか」。疾病・要介護状態・認知症・障害などで外出が難しい方はもちろん、常時介護や育児をしているご家族自身、地域によっては社会福祉施設の入所者やへき地にお住まいの方も対象になります。対象の詳細は地域の条例によって異なるため、「うちの地域ではどうか」という視点を忘れずに確認してください。

大切なのは、形式的な条件の言葉に自分を当てはめて諦めないことです。外出のしづらさはご家庭ごとに事情が違い、その事情を汲んで判断するのがこの制度の建て付けです。まずはご本人の状態を整理して、地域と施術メニューから事業者を探し、問い合わせで率直に相談してみてください。

最後に、確認の場面でよくあるつまずきを2つ挙げておきます。1つは、制度の言葉(「社会通念上困難」など)を自分で解釈しようとして止まってしまうこと。言葉の解釈は事業者と保健所に任せて、ご家族は事実(状態と事情)を伝えることに集中する方がうまくいきます。もう1つは、一度「対象外かも」と思うと問い合わせ自体を諦めてしまうこと。ご本人の状態は変わりますし、地域の制度も見直されることがあります。半年前は難しかったケースが今は相談できる、ということもあるので、必要になったタイミングであらためて確認してみてください。

FAQ

このガイドのよくある質問

利用できる可能性があります。対象の判断軸は要介護認定の有無ではなく、「理容所・美容所に来ることが社会通念上困難かどうか」です。認定がなくても、疾病や障害、体力の低下などで外出が難しい事情があれば対象になり得ます。外出が難しい理由を具体的に伝えて、事業者に対象になるか確認してください。地域の正確な取り扱いは保健所でも確認できます。
対象になる場合があります。国の通知では、自宅で常時、重度の要介護状態のご家族の介護や乳幼児の育児を行っていて、ほかに代わる人がおらず家を空けられない方も出張理美容の対象として示されています。要介護のご本人の施術と同じ機会に、介護者ご自身のカットも一緒に依頼できるか相談してみてください。対象になるかの判断も含めて事業者が確認してくれます。
多くの場合、対象になります。東京都のように、条例で社会福祉施設の入所者が出張理美容の対象として明示されている地域があり、施設への出張理美容は広く行われています。ただし対象の定め方は地域により異なるため、施設の相談員に施設での理美容の仕組みを確認するのが実務上の近道です。外部の事業者を呼べるかどうかは施設の方針にもよるため、無断での手配は避けましょう。
頼めません。出張理美容は、理容所・美容所での施術が原則である中で、来所が困難な方のために法令・条例が例外として認めている仕組みです。単に外出が面倒という理由は対象にあたりません。ただし、持病や体力低下などで外出の負担が実際に大きい場合は判断が変わる可能性があるため、事情を具体的に伝えて相談してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

Related

あわせて読みたいガイド

FREE CONDITION CHECK

ガイドの内容をもとに、確認事項を整理できます

AIコンシェルジュは準備中です。 現在は問い合わせフォームから、希望条件や確認したい点を送信できます。

事業所を探す気になる事業所へ直接問い合わせ