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自費サービスであることの整理

Published
作成日: 2026年7月5日
Updated
最終更新日: 2026年7月7日

訪問理美容・出張美容・フットケアが介護保険の対象外で全額自費となる理由を、厚生労働省通知に基づき整理。身体整容との違いや自治体助成との関係も解説します。

01結論:訪問理美容は介護保険の対象外、全額自費サービスです

訪問理美容・出張美容・フットケア・メイクセラピーは、介護保険の給付対象ではなく、利用者やご家族が費用の全額を負担する自費サービスです。

これは事業者ごとの運用の違いではなく、厚生労働省が発出した通知によって全国一律に整理されている制度上の位置づけです。「なぜ介護保険が使えないのか」「訪問介護の一部として扱われることはないのか」という疑問を持つ方は少なくありませんが、答えは明確で、訪問理美容・出張美容は理容師法・美容師法にもとづく役務提供であり、介護保険法上のサービスメニューには含まれていません。

この記事では、混同されやすい「身体整容」(訪問介護の枠内の行為)と「出張理容・出張美容」(自費サービス)の違い、および一部自治体にある助成制度との関係を、厚生労働省の通知に基づいて整理します。

02根拠となる厚生労働省の通知

訪問理美容が自費サービスであることは、次の2つの厚生労働省通知で明確に整理されています。

1つ目は、平成29年3月13日付の「在宅の高齢者に対する理容・美容サービスの積極的な活用について」(生食衛発0313第1号)です。この通知では、在宅高齢者への理美容提供には複数の形態があるとした上で、①理容師法・美容師法施行令にもとづく出張理容・出張美容、②訪問介護員資格を持つ理容師・美容師が行う訪問介護の「身体整容」、③訪問介護の前後に介護保険と明確に区分して行う保険外の出張理容・美容、④市町村特別給付事業、⑤市町村独自事業、という5形態を整理しています。

2つ目は、平成30年9月28日付の「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」(老高発0928第1号等)です。この通知は、訪問介護と保険外サービス(理美容を含む)を組み合わせる際に事業者が満たすべき要件を定めています。

どちらも自治体の福祉主管部局向けに発出された行政文書であり、訪問理美容を検討する読者が直接読む機会は少ないものですが、「なぜ自費なのか」の一次情報の根拠として押さえておく価値があります。

なお、この記事で扱う「訪問理美容」には出張理容・出張美容に加えてフットケア・メイクセラピーも含みますが、糖尿病による足病変や巻き爪の医療処置など医療的フットケアは本サイト・本サービスの対象外です。医療的な処置が必要な場合は医療機関・訪問看護にご相談ください。

03「身体整容」と「出張理容・出張美容」は制度上の別物です

訪問理美容を理解するうえで最も混同されやすいのが、訪問介護の「身体整容」と、理美容師が行う「出張理容・出張美容」の違いです。

身体整容とは、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問介護サービスの一環として行う整髪・爪切りなど、日常生活の範囲の身だしなみ介助を指します。これは訪問介護報酬に含まれる行為であり、介護保険の給付対象です。

一方、出張理容・出張美容は、理容師・美容師の資格を持つ専門職が、カット・パーマ・カラー・ヘッドスパなど理容所・美容所と同等の施術を利用者の自宅や施設に出向いて行うものです。これは理容師法・美容師法にもとづく役務提供であり、介護保険の給付対象には含まれません。

厚生労働省の通知(平成29年)では、訪問介護員資格を持つ理容師・美容師が「身体整容」として訪問介護報酬を受ける場合、出張理容・出張美容にかかる費用を別途徴収することはできないと明記されています。つまり、身体整容の範囲を超える本格的な理美容施術を依頼する場合は、介護保険の枠外の自費サービスとして、訪問介護とは明確に区分したうえで別料金を支払う形になります。

身体整容と出張理容・出張美容は別物

04身体整容と出張理容・出張美容の違い

両者の違いを整理すると、次のようになります。

項目身体整容(訪問介護)出張理容・出張美容(自費)
根拠制度介護保険法(訪問介護)理容師法・美容師法
担い手訪問介護員(ヘルパー資格)理容師・美容師(免許保有者)
内容整髪・爪切りなど日常範囲の身だしなみ介助カット・パーマ・カラー・ヘッドスパ等の本格施術
費用負担介護保険給付(訪問介護報酬に含まれる)全額自己負担(自費)
訪問介護との併用訪問介護の一部としてそのまま提供訪問介護の前後に、時間・会計を明確に区分して提供

担当のケアマネジャーや訪問介護事業者から「整容はヘルパーが対応します」と説明を受けた場合、それは身体整容の範囲であり、出張理容・出張美容とは別のサービスだと理解しておくと、依頼内容の行き違いを防げます。

05訪問介護と組み合わせて依頼する場合の区分要件

訪問介護の利用者が、同じ日に出張理美容も依頼したいというケースは実際に多くあります。この場合、厚生労働省の通知(平成30年)では、次のような要件を満たすことで訪問介護と保険外サービスの組み合わせ提供が可能とされています。

  • 保険外サービスの目的・運営方針・利用料等を、訪問介護の運営規程とは別に定めること
  • 利用者に重要事項の説明を行い、同意を得ること
  • 訪問介護の利用料とは別に費用を請求し、会計も区分すること
  • 担当のケアマネジャーへ実施内容を報告すること

通所介護(デイサービス)についても同様の考え方が示されており、理美容サービスは通所介護と明確に区分できるものとして保険外サービスで提供可能ですが、通所介護の提供時間には理美容サービスの時間を含めてはならないとされています。

事業者に依頼する際は、こうした区分がきちんとなされているか(重要事項説明があるか、会計が訪問介護とは別になっているか)を確認すると安心です。

06自治体の助成制度は「介護保険の給付」ではありません

訪問理美容について調べると、自治体独自の助成制度に行き当たることがあります。たとえば千葉市の「高齢者訪問理美容サービス」は、市内在住・在宅の65歳以上で要介護3〜5の認定を受け、理容店・美容院での施術が困難な方を対象に、施術費(カット・顔そり・パーマ等)は利用者の自己負担としつつ、訪問費(出張費)のみを市が全額負担する仕組みです。

こうした自治体独自の助成は、厚生労働省の通知でいう「市町村独自事業」に該当するものであり、介護保険の保険給付そのものではありません。つまり、自治体が一部費用を助成する場合でも、施術費本体はやはり自費サービスという整理は変わりません。

助成制度の有無・内容は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村に同様の制度があるかどうかは、各自治体の公式ページや高齢福祉の窓口で個別に確認することをおすすめします。

07出張理容・出張美容には届出が必要な場合があります

訪問理美容が「介護保険サービス」ではなく理容師法・美容師法にもとづく別枠の役務提供であることは、出張理容・出張美容の実施要件からも裏付けられます。

理容師法・美容師法上、施術は原則として理容所・美容所で行う必要がありますが、法令で定める特別の事情がある場合に限り出張施術が認められています。具体的には、疾病や身体上の理由で来店が困難な場合、重度要介護高齢者の介護中で外出が困難な場合、社会福祉施設に入所している場合、婚礼直前などが該当します。

このうち、疾病その他の理由で理容所・美容所に来ることができない場合や、へき地への出張の場合は、業務を開始する前日までに保健所(または都道府県)へ出張理容届・出張美容届を提出することが必要とされています(婚礼・演芸等の直前施術など一部のケースは事前届出が不要です)。訪問理美容の主な利用場面である「疾病・要介護等により来店が困難なケース」は、まさにこの事前届出が必要なパターンに該当します。なお、理容師法・美容師法には、介護保険の「指定番号」に相当するような許認可番号の制度自体は存在しません。届出の有無と、指定番号のような許認可番号の有無は別の論点である点にご注意ください。

あわせて、器具の消毒、清潔な作業衣の着用、年1回以上の健康診断受診など、通常の理容所・美容所と同様の衛生管理要件も課されています。事業者を選ぶ際は、出張理容届・出張美容届の届出状況や衛生管理体制について、事業者に確認すると安心です。

なお、医療的ケア(酸素療法・経管栄養等)を必要とする方への対応可否は、理美容師が医学的に判断できる範囲を超えるため、本サイトの対象外です。医療的な管理が必要な場合は、まず主治医や訪問看護に相談し、そのうえで訪問理美容事業者に対応可否を個別に確認してください。

08自費サービスだからこそ、見積もりと重要事項の確認を

訪問理美容・出張美容・フットケア・メイクセラピーが自費サービスであるということは、裏を返せば、料金体系・サービス範囲・キャンセル規定などを事業者が独自に定めているということでもあります。介護保険サービスのように全国一律の単価・ルールがあるわけではないため、依頼前に次の点を事業者へ確認することをおすすめします。

  • 施術メニューごとの料金、出張費・交通費の有無
  • 訪問介護と同日に依頼する場合の区分方法(会計・時間の分け方)
  • お住まいの自治体に助成制度がある場合、その適用条件
  • 衛生管理体制(消毒方法、健康診断の受診状況など)

本サイトでは具体的な円額を掲載せず、費用の仕組みを理解したうえで事業者に見積もりを確認いただく方針としています。制度の整理を踏まえたうえで、営業エリアや資格・届出の状況を比較しながら、事業者への問い合わせをご検討ください。

09なぜ理美容は介護保険の給付に含まれないのか

訪問理美容が全額自費になる背景には、介護保険が「日常生活を送るうえで必要な介護・支援」を給付対象としている、という制度の考え方があります。介護保険は、入浴・排せつ・食事といった生活に不可欠な介助や、機能訓練、療養上の世話などを保険給付の範囲としています。カット・カラー・パーマといった理美容は、生活の質(QOL)の維持・向上に資するものではありますが、生命や生活の維持に直接必要な介助とは区分され、保険給付の対象外とされています。

このため、要介護度が高くても、理美容そのものの費用が介護保険から支払われることはありません。訪問介護員(ホームヘルパー)が整髪や爪切り(爪や皮膚に異常がなく専門的管理を要しない範囲)を身体整容として行う場合は介護保険の対象になりますが、これはあくまで日常生活上の整容介助であって、カット・カラー等の理美容技術を伴う施術とは別のものです。「訪問介護のヘルパーに髪を整えてもらう」ことと「理容師・美容師にカットしてもらう」ことは、制度上まったく異なる位置づけである点を押さえておくと、費用の仕組みが理解しやすくなります。

10自費サービスを利用するときに家計面で意識しておきたいこと

訪問理美容は全額自費のため、継続的に利用する場合は家計面での計画も意識しておくと安心です。定期的にカットを依頼する場合、施術料に加えて出張費・交通費が毎回かかる事業者もあります。年間でどのくらいの回数・費用になるかを、初回の見積もり時に事業者と相談しておくと、無理のない頻度で続けやすくなります。

また、お住まいの自治体に訪問理美容の助成制度がある場合は、対象要件を満たせば費用の一部を軽減できることがあります。助成は介護保険の給付とは別の、自治体独自の高齢者福祉施策であり、対象者や助成額、利用回数は自治体ごとに異なります。要介護認定を受けている方は、担当のケアマネジャーが地域の制度を把握していることもあるため、費用が気になる場合は自治体の高齢福祉窓口やケアマネジャーに相談してみてください。自費サービスであることを前提に、助成の有無・見積もりの内訳・継続時の総額を事前に確認しておくことが、安心して利用を続けるコツです。

11よくある誤解:「介護施設なら無料で受けられる」わけではない

介護施設に入居していると、理美容も施設のサービスに含まれていて無料で受けられる、と誤解されることがあります。しかし、施設内で受ける訪問理美容・出張美容室のサービスも、原則として介護保険の対象外の自費サービスです。施設が場所を提供し、外部の理美容事業者が定期的に訪問して施術する形が一般的で、施術料は入居者本人(またはご家族)が支払います。

施設によって、理美容費用が月額利用料に含まれているのか、都度実費精算なのかは運用が異なります。また、施設が特定の事業者と提携している場合と、家族が希望する事業者を個別に呼べる場合とがあります。入居先で訪問理美容を利用したい場合は、まず施設スタッフに、提携事業者の有無・費用の精算方法・外部事業者の受け入れ可否を確認するとよいでしょう。いずれの場合も「施設だから無料」ではなく、理美容の施術そのものは自費である点は共通しています。

FAQ

このガイドのよくある質問

訪問理美容・出張美容は理容師法・美容師法にもとづく役務提供であり、介護保険法上のサービスメニューには含まれていないためです。厚生労働省の通知でも、出張理容・出張美容は介護保険の枠外の自費サービスとして整理されています。
異なります。ヘルパーが行う「身体整容」は整髪や爪切りなど日常範囲の身だしなみ介助で、訪問介護報酬に含まれます。カット・パーマ・カラーなど理容所・美容所と同等の本格的な施術を依頼する場合は、訪問介護とは別枠の自費サービス(出張理容・出張美容)になります。
頼めます。ただし厚生労働省の通知により、訪問介護の運営規程とは別に保険外サービスの利用料等を定め、利用者への重要事項説明・同意取得、会計の区分、ケアマネジャーへの報告などの要件を満たす必要があります。事業者にこれらの体制が整っているか確認すると安心です。
なりません。千葉市の例のように、自治体独自の訪問理美容助成は市町村単独の福祉施策であり、介護保険の保険給付ではありません。助成対象になっても施術費本体は自費という位置づけは変わらないため、制度の詳細はお住まいの自治体窓口で確認してください。
訪問理美容師は医療的な可否判断はできないため、酸素療法・経管栄養など医療的ケアが必要な方は、まず主治医や訪問看護に相談してください。そのうえで、対応可否について訪問理美容事業者に個別に確認することをおすすめします。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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