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施設契約と個別訪問で費用体系がどう変わるか

Published
作成日: 2026年7月6日
Updated
最終更新日: 2026年7月7日

訪問理美容・出張美容の費用体系が「施設契約」か「個別(在宅)訪問」かで、料金の決まり方・支払い主体・公的助成の対象範囲がどう変わるかを、厚生労働省通知や自治体助成制度などの一次情報に基づいて整理し、事業者への確認ポイントをチェックリスト化した記事。

01施設契約と個別訪問、費用体系の違いは「契約主体」と「保険の枠内かどうか」で決まる

訪問理美容・出張美容の費用体系は、施設契約か個別(在宅)訪問かで料金の決まり方そのものが変わる自費サービスである。理由は大きく2つあり、1つは契約を結ぶ主体が「事業者×施設」か「事業者×利用者本人・家族」かという違い、もう1つは介護保険の枠内で行われるか、枠外の自費サービスとして行われるかという制度上の違いである。

施設契約では、事業者と施設が業務委託契約を結び、訪問頻度・施術メニュー・利用者ごとの負担額の設定方法を施設側があらかじめ取り決めているケースが多い。一方、個別(在宅)訪問では、利用者本人またはその家族が事業者と直接契約し、訪問のたびに個別に料金を確認・支払う形が基本になる。

さらに厚生労働省の通知では、訪問介護員資格を持つ理容師・美容師が指定訪問介護事業所の訪問介護員として整容(身体整容)を行う場合は介護報酬の対象となり、出張理容・出張美容にかかる費用を別途徴収することはできないと整理されている。これに対し、訪問介護サービスの前後に介護保険外サービスとして理美容を行う場合は、別途料金を徴収できるとされている。つまり「介護保険の枠内の整容」と「介護保険外の自費の理美容サービス」とで、そもそも費用を別途取れるかどうかの線引きが公的に示されているのである。本記事で扱う訪問理美容・出張美容サービスは、原則としてこの「介護保険外の自費サービス」にあたる。

02施設契約の費用体系の特徴:一括契約と利用者負担額の設定

施設契約の場合、事業者は個々の利用者と直接料金交渉をするのではなく、施設側と一括で契約条件を取り決めることが一般的である。訪問頻度(月1回・隔月など)、対応する施術メニューの範囲、出張費・交通費の扱いなどを施設と事業者間であらかじめ決め、施設が利用者ごとの負担額をどう設定するか(施設の運営費に含めるか、利用者から実費徴収するか)は施設の運営方針による。

このため、同じ事業者が同じ地域で施術していても、A施設とB施設とで利用者の実質負担額が異なるということが起こり得る。これは料金体系が法定基準ではなく、事業者と施設の個別契約・市場相場によって決まるためである。実際、出張理容・出張美容の統一料金基準は業界団体としても公表されておらず、料金は事業者ごとの自由設定になっている。

施設に家族が入所している場合、まず確認すべきは「施設がすでに出張理美容の契約事業者を持っているか」「利用者負担額はいくらで、何が含まれているか(カット・シャンプー・出張費など)」の2点である。施設契約がある場合、個人で別の事業者を探すよりも、まず施設のケアマネジャーや生活相談員に確認する方が早い。

03個別(在宅)訪問の費用体系の特徴:都度契約と公的助成の可能性

個別(在宅)訪問の場合、利用者本人または家族が事業者と直接契約し、訪問のたびに施術内容・出張距離に応じた料金を個別に確認する形になる。施設契約のような一括取り決めがないため、料金は事業者の見積もりベースで決まる。

在宅の個別訪問には、施設契約にはない選択肢として自治体の公的助成制度がある。例えばさいたま市の「重度要介護高齢者訪問理・美容サービス事業」は、対象要件に「介護保険施設等又は病院等に入所・入院していないこと」を明記しており、施設入所者は対象外で在宅の個人利用者のみが対象となる。利用者負担は助成券1枚につき1回分のサービス費用が助成される仕組みだが、サービス内容によっては追加料金が発生する場合がある点には注意が必要である。千葉市など他の自治体でも同様に、在宅高齢者向けの訪問理美容助成事業を実施している例がある。

また、出張が認められる要件としては、疾病・骨折・認知症・障害・寝たきり等の要介護状態や、家族が乳幼児の育児や重度要介護高齢者の介護を常時行っている場合などが自治体側で具体的に列挙されており、個人単位の要介護状態や個別事情が出張可否・助成対象の判断基準になっている。在宅で利用を検討する場合は、まず自治体の高齢福祉担当窓口に助成制度の有無を確認するのが第一歩になる。

施設契約と個別訪問の費用体系比較

04費用体系の違いを一覧で比較する

施設契約と個別(在宅)訪問の違いを整理すると、契約主体・料金の決まり方・公的助成の可能性のそれぞれで構造が異なることがわかる。以下の比較表で全体像を確認してほしい。

比較項目施設契約個別(在宅)訪問
契約主体事業者×施設(業務委託契約)事業者×利用者本人・家族(個別契約)
料金の決まり方施設と事業者間で一括取り決め、施設が利用者負担額を設定訪問のたびに施術メニュー・出張距離に応じて個別見積もり
支払いのタイミング施設運営費に含む・実費徴収など施設の運営方針による都度払いが基本
公的助成の可能性自治体助成の対象外となる例が多い(在宅限定の制度が一般的)自治体によっては訪問理美容助成券等の対象になる場合がある
介護保険の適用訪問介護員による身体整容として行う場合は介護報酬対象、別途徴収不可(保険外の自費サービスとして行う場合は対象外で別途徴収可)同左(保険外の自費サービスが基本)
まず確認すべき相手施設のケアマネジャー・生活相談員事業者本人、または自治体の高齢福祉担当窓口

この表からわかる通り、費用体系の違いは「誰が事業者と契約しているか」「介護保険の枠内か枠外か」「自治体助成の対象範囲」という3つの構造的な要因から生まれている。具体的な金額は施術メニュー・出張距離・地域によって事業者ごとに異なるため、この記事では相場額を断定しない。気になる場合は事業者に直接見積もりを確認することが最も確実である。

05医療的ケアが必要な場合の対応と相談先

訪問理美容・出張美容は理容師・美容師による整容サービスであり、医療行為やそれに準じる医療的ケアは対象外である。皮膚疾患の治療、褥瘡(床ずれ)の処置、爪切りに伴う医療的な処置が必要なケース(糖尿病由来の足病変など)は、理美容事業者の対応範囲を超えるため、事業者側も施術を断る、または医療機関への相談を勧めることがある。

こうした医療的ケアが必要な場合は、まず主治医や訪問看護ステーションに相談し、必要に応じて訪問介護・訪問看護と連携しながら対応することになる。施設契約・個別契約いずれの場合でも、施術前に「医療的な処置が必要な状態かどうか」を事業者に伝え、対応可能な範囲かどうかを確認しておくとトラブルを避けられる。

06費用体系を確認する際の実務ポイント

施設契約か個別訪問かにかかわらず、費用体系を確認する際は次のポイントを事業者・施設・自治体それぞれに確認しておくと安心である。

  1. 施設契約の場合は、施設のケアマネジャー・生活相談員に「利用者負担額に何が含まれているか(施術内容・出張費の有無)」を確認する。
  2. 個別(在宅)訪問の場合は、事業者に施術メニューごとの見積もりと、出張距離による追加費用の有無を確認する。
  3. 在宅利用の場合は、居住する自治体の高齢福祉担当窓口に訪問理美容の助成制度があるかを確認する(自治体により制度の有無・対象要件は異なる)。
  4. 医療的ケアが必要な状態がある場合は、事前に事業者へ伝え、対応可否と医療機関・訪問看護との連携が必要かを確認する。

これらは公的な制度・通知に基づく確認事項であり、具体的な金額は事業者・自治体ごとに異なる。介護りびようさーちでは、事業者ごとの対応エリア・施術メニュー・施設対応の実績などの情報から事業者を探すことができるため、施設契約を検討している施設担当者も、在宅で個別利用を考えている家族も、まず気になる事業者に直接問い合わせて見積もりを確認することをおすすめする。

07なぜ出張施術が認められるのか:理容師法・美容師法の例外規定と費用への影響

訪問理美容・出張美容の費用体系を理解するうえで前提として押さえておきたいのが、出張施術は法律上の「例外」として認められているサービスだという点である。理容師法第6条の2および美容師法第7条は、理容・美容の業を理容所・美容所以外の場所で行うことを原則として認めておらず、政令で定める特別の事情がある場合に限って例外的に認めている。

この「特別の事情」について、厚生労働省の通知(平成28年3月24日付「理容師法施行令第4条第1号及び美容師法施行令第4条第1号に基づく出張理容・出張美容の対象について」)では、疾病の状態にある場合のほか、骨折・認知症・障害・寝たきり等の要介護状態にあり、その状態の程度や生活環境に鑑みて社会通念上、理容所・美容所に来ることが困難と認められる者が対象になると整理されている。このほか、婚礼その他の儀式に参列する者に対して儀式の直前に理容・美容を行う場合や、都道府県等が条例で定める場合も例外として認められる。この対象に関するQ&Aは令和8年3月26日に改正版が公表されており、運用の考え方は現在も更新され続けている。

費用体系との関係で重要なのは、施設入所者も在宅の要介護者も、この例外規定に該当するからこそ出張施術を受けられるという構造である。事業者は店舗での施術と異なり、器具の携行・移動・出張先での衛生確保といった店舗にはない負担を伴うため、施術料とは別に出張費・交通費が設定されるケースがある。施設契約ではこの出張費を施設との一括契約の条件に織り込みやすいのに対し、個別(在宅)訪問では訪問1回ごとの料金に反映されやすい。この違いが、前述した両者の費用体系の差を生む土台になっている。

08契約前に確認したい免許・届出・衛生管理:費用トラブルを避ける視点

出張理美容の事業者には、厚生労働省の「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」(平成19年10月4日付通知。令和8年3月26日に一部改正)に沿った衛生管理が求められている。この要領では、出張先が利用者の居室・病院・介護施設・式場等であり、理容所・美容所と同等の衛生措置を講じることが難しい場所であることを踏まえ、衛生確保に必要な器具等を十分量携行すること、理容師免許・美容師免許を取得したことを証明するもの(免許証の本書またはその写し)を持参し、利用者等から求めがあった場合には提示することなどが定められている。つまり、施術前に利用者・家族の側から免許証の提示を求めることは、公的な要領上も想定されている正当な確認行為である。

また、群馬県のように、出張理容・出張美容を行う事業者に保健所等への届出を求める自治体もある。届出制度の有無や内容は地域によって異なるため、詳細は事業者所在地の保健所の案内で確認することになる。

こうした確認は費用面でも意味を持つ。さいたま市の重度要介護高齢者訪問理・美容サービス事業では、登録事業者の要件として、理容師免許・美容師免許を受けていることに加え、出張理容届・出張美容届を保健所に届け出ていることが挙げられている。つまり、免許や届出が確認できない事業者に依頼した場合、自治体の助成券がそもそも使えない可能性があるということである。施設契約では施設側が契約時にこうした確認を済ませているのが通常だが、個別(在宅)訪問で家族が事業者を探す場合は、見積もりの確認とあわせて、免許の提示可否や自治体への届出・登録状況も確認しておくと、料金と信頼性の両面で安心につながる。

09自治体助成券を使う場合の申請から利用までの流れ:さいたま市の例に見る手順

在宅の個別訪問で自治体の助成制度を使う場合、「事業者に申し込む前に、自治体への申請が必要」という順序を押さえておくことが重要である。前述のさいたま市「重度要介護高齢者訪問理・美容サービス事業」を例にすると、利用までの流れは次のようになる。

  1. 対象要件の確認。さいたま市の場合、市内在住の65歳以上で、理・美容店に行くことが困難と認められ、介護保険の要介護3〜5に該当し、介護保険料の滞納がなく、介護保険施設等・病院等に入所・入院していないことが要件とされている。
  2. 各区の高齢介護課(高齢福祉係)への申請。申請が認められると訪問理・美容券(助成券)が交付される。
  3. 市の登録事業者への依頼。さいたま市のように助成券を使える事業者を登録制にしている自治体では、登録外の事業者に依頼すると助成が受けられないため、事業者選びの段階で「この自治体の登録事業者かどうか」を確認する必要がある。
  4. 施術当日に助成券を利用する。券1枚につき1回分のサービス費用が助成されるが、サービス内容によっては追加料金が発生する場合がある。

この流れから読み取れる一般的な注意点は3つある。第一に、対象となる年齢・要介護度・在宅要件は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体の高齢福祉担当窓口に確認することが出発点になる。第二に、助成券が登録事業者でしか使えない自治体では、介護りびようさーちなどで気になる事業者を見つけた際に、問い合わせの時点で「自治体の助成券は使えるか(登録事業者か)」を確認しておくと二度手間を防げる。第三に、「施設等に入所・入院していないこと」が要件に含まれる例があるとおり、施設入所中の利用者負担にはこの種の助成が原則として使えない。施設での費用を抑えたい場合は、助成制度を探すのではなく、施設との契約内容(利用者負担額に何が含まれているか)を確認する方向で検討するのが現実的である。

FAQ

このガイドのよくある質問

施設の運営方針によります。施設がすでに契約している事業者がいる場合、施設内での施術は契約事業者に限定されることがあります。まずは施設のケアマネジャーや生活相談員に、個人で別事業者を利用できるかどうかを確認してください。
厚生労働省の通知によれば、訪問介護員資格を持つ理容師・美容師が指定訪問介護事業所の訪問介護員として整容(身体整容)を行う場合は介護報酬の対象となり、出張理容・出張美容の費用を別途徴収することはできないとされています。一方、訪問介護の前後に介護保険外サービスとして理美容を行う場合は、保険外の自費サービスとして別途料金が発生します。本記事で扱う訪問理美容・出張美容サービスの多くは、後者の介護保険外の自費サービスにあたります。
自治体によっては、在宅の要介護高齢者向けに訪問理美容サービスの助成制度を設けている場合があります。例えばさいたま市や千葉市には該当の助成事業がありますが、対象要件(施設入所者は対象外、要介護度の条件など)は自治体ごとに異なります。お住まいの自治体の高齢福祉担当窓口に直接確認してください。
あり得ます。出張理容・出張美容の統一料金基準は業界団体としても公表されておらず、料金は事業者ごとの自由設定です。施設契約は事業者と施設間の業務委託契約に基づき一括で条件が決まるのに対し、個別契約は訪問のたびに個別見積もりとなるため、契約形態によって実質的な負担額が変わることがあります。
訪問理美容・出張美容は理容師・美容師による整容サービスであり、医療行為や医療的な処置は対象外です。皮膚疾患の治療や褥瘡の処置が必要な場合は、事業者に事前に状態を伝えたうえで、主治医や訪問看護ステーションに相談してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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