訪問理美容の施術料や出張費・交通費は、介護保険の給付対象ではありません。訪問介護や通所介護のようにケアプランへ組み込んで利用できるサービスではなく、要介護度が高くても全額自費で支払うサービスです。
一方で、多くの市区町村が高齢者福祉の独自事業として「訪問理美容サービス」「訪問理美容費用助成」といった名称の助成制度を実施しています。実際に自治体の公式ページを確認すると、助成の設計は大きく次の3パターンに分かれています。
- 出張費部分を自治体が負担するパターン: 名古屋市の「在宅高齢者訪問理美容サービス事業」では、理美容師の訪問にかかる費用(この記事のテーマである出張費に相当する部分)を市が負担し、カット代などの施術料は利用者が自己負担する設計です
- 施術部分を助成するパターン: 横浜市の「訪問理美容サービス事業」では、カットの施術が助成対象で、利用者は定められた自己負担額を支払います。シャンプーやひげ剃りなどの追加メニューや、訪問時の駐車場代は別途自己負担になる場合があると案内されています
- 利用券を交付するパターン: 世田谷区の「高齢者訪問理美容サービス」では、年間の上限枚数まで訪問理美容券が支給される方式です
対象者の要件も自治体ごとに異なりますが、「おおむね65歳以上」「在宅で暮らしている」「要介護3〜5など一定以上の要介護度」「理容所・美容所への外出が困難」といった条件の組み合わせが一般的です。横浜市のように、要支援1〜要介護3でも行政が特に必要と認めた場合は対象になる例もあります。利用回数は年6回程度を上限とする自治体が多く、いずれも事前の申請が必要です。
このほか、東京都千代田区・目黒区、岐阜県関市・中津川市、愛知県東海市、群馬県伊勢崎市など、同種の助成事業は全国の自治体で幅広く実施されています。ただし、助成の対象範囲・要件・回数・自己負担額は自治体ごとに大きく異なり、年度によって改定されることもあります。また、自治体が指定・登録した事業者での利用に限られる場合もあるため、次の順で確認するのがおすすめです。
- お住まいの市区町村の公式サイトで「訪問理美容」を検索する
- 高齢福祉担当課や地域包括支援センター(世田谷区では「あんしんすこやかセンター」の名称)に、対象要件と利用できる事業者を確認する
- 担当のケアマネジャーがいる場合は、申請手続きの相談をする
助成が使えるかどうかで、出張費・施術費を含めた総額の負担は変わってきます。事業者に見積もりを取る前に、まず自治体の制度を確認しておくと二度手間になりません。