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介護りびようさーち
制度・事業者向け

訪問理美容の感染対策ガイドライン(業界団体・自治体の指針)

Published
作成日: 2026年7月6日
Updated
最終更新日: 2026年7月7日

厚労省通知・出張理容美容衛生管理要領・全国訪問理美容協議会ガイドラインという一次情報に基づき、訪問理美容の感染対策の法的根拠と実務基準を整理し、利用者・施設が事業者選びで確認すべきポイントをまとめた制度解説記事。

01訪問理美容の感染対策は「法的な衛生管理」と「業界団体の実務基準」の2層でできている

訪問理美容・出張美容の感染対策は、厚生労働省が定める衛生管理要領(法的根拠)と、業界団体が策定する実務ガイドライン(具体的な運用基準)の2層で成り立っている。

利用者や家族、施設の担当者が事業者を選ぶときに「感染対策をしているか」を確認する場合、事業者の自己申告だけでなく、この2層のどちらか(あるいは両方)に基づいた説明ができるかを見ることが、客観的な判断材料になる。

第一層は、理容師法・美容師法の運用根拠となる厚生労働省の「理容所及び美容所における衛生管理要領」および「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」で、全国の理容師・美容師に共通して適用される法的な最低基準にあたる。第二層は、全国訪問理美容協議会が策定した「訪問理美容サービス提供事業者に対するガイドライン」で、訪問という業態に特化した、より具体的な数値基準(発熱の目安、消毒の頻度、換気時間など)を定めたものである。

以下、それぞれの内容と、利用者側が確認すべきポイントを一次情報に基づいて整理する。

感染対策の2層構造

02厚生労働省「理容所及び美容所における衛生管理要領」―就業制限の法的根拠

厚生労働省は令和6年6月26日付(健生発0626第6号)で、「理容所及び美容所における衛生管理要領」(昭和56年6月1日環指第95号)の一部を改正する通知を、各都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部(局)長宛に発出した。

この改正の要点は、理容所・美容所の開設者に対し、従業者またはその同居者が「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)により就業が制限される感染症にかかっている者又はその疑いのある者である場合は、当該感染症をまん延させるおそれがなくなるまでの期間業務に従事させないこと」を求める規定に改められた点にある。

旧規定はエボラ出血熱等、特定の感染症を個別に列挙する形だったが、改正後は感染症法の就業制限規定を包括的に引用する形になり、対象となる感染症の範囲がより明確かつ包括的になった。この通知は地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的助言であり、全国の理容所・美容所(訪問理美容を含む)の衛生管理の法的な土台となっている。

03「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」―訪問時の具体的な衛生確保事項

訪問(出張)理美容は理容師法施行令・美容師法施行令上、原則禁止されている来所困難者への例外的な対応として位置づけられており、これに対応する形で「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」(平成19年施行)が定められている。

厚生労働省の公式ページでは、この要領を含む理容師法・美容師法関連の法令・通知が一覧できる。自治体の解説ページ(神奈川県・愛知県)によると、出張理容・出張美容を行う際の衛生確保事項として、次のような内容が共通して定められている。

  • 皮膚に接する布片(タオル等)は客一人ごとに取り替えること
  • 皮膚に接する器具(はさみ・くし等)は客一人ごとに消毒すること
  • 衛生上必要な器具等を十分な量携行すること
  • 清潔な作業衣を着用し、顔面に触れる作業を行うときはマスクを着用すること
  • 手指は常に清潔に保つこと
  • 実施者は年1回以上の健康診断を受け、結核・皮膚疾患等の伝染性疾病がないことを確認すること

これらは複数の自治体で共通して案内されている内容であり、訪問理美容という業態固有の衛生管理の基本ラインといえる。

04全国訪問理美容協議会のガイドライン―数値基準を伴う実務レベルの指針

全国訪問理美容協議会は、経済産業省「令和2年度ヘルスケアサービス社会実装事業費補助金」の採択を受け、「訪問理美容サービス提供事業者に対するガイドライン」を策定・公表している。厚生労働省の衛生管理要領や自治体の感染症対策の遵守を前提としたうえで、より具体的な運用基準を定めている点が特徴である。

主な内容は以下の通り。

  • サービス提供を控える目安:37.5度以上の発熱(平熱+0.5度以上も考慮)、呼吸困難・強い倦怠感、4日以上続く風邪症状がある場合
  • 施術時のマスク着用、手指消毒用アルコールの携帯・使用
  • 消毒済みの器具、または使い捨て器具の使用
  • 1時間に1回・10分以上の換気
  • 施術後の椅子・テーブルのアルコール消毒
  • 推奨事項として、フェイスシールド・ゴム手袋の着用、使用済みごみの密閉・持ち帰り、体温・体調の日次記録

なお、これらの数値基準は新型コロナウイルス感染症の流行期に整理された内容を含むため、インフルエンザ・ノロウイルスなど平時の常設的な感染対策として参照する場合は、策定時期を踏まえたうえで運用実態を事業者に確認するとよい。

05自治体の解説から見る運用の共通性

神奈川県・愛知県など複数の自治体は、出張理容・出張美容に関する衛生確保の内容を、条例・要綱レベルでほぼ共通した内容として公開している。

出張理容・出張美容自体は理容師法施行令・美容師法施行令が定める例外事由(疾病等で来所困難な場合、婚礼等の直前の整容、係留船舶の乗船者等)に該当する場合のみ実施できるものであり、届出そのものは不要だが、事前に管轄の保健所等へ相談することが推奨されている。

下記は、ここまでに整理した一次情報の階層と、それぞれが定める内容の対応関係である。

情報源位置づけ主な内容
厚労省「理容所及び美容所における衛生管理要領」改正通知法的根拠(全理容所・美容所共通)感染症法に基づく就業制限
厚労省「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」法的根拠(訪問業態専用)器具消毒、作業衣・マスク、健康診断等
全国訪問理美容協議会ガイドライン業界団体の実務基準発熱の目安、換気頻度、消毒手順等の数値基準
自治体(神奈川県・愛知県等)の解説運用の裏付け上記の運用実態の確認・補足

この対応関係を踏まえると、事業者に感染対策を確認する際は「何を根拠にしている対策か」を尋ねることで、説明の裏付けの有無を判断しやすくなる。

06利用者・施設が事業者に確認したいポイント

訪問理美容・出張美容の事業者に感染対策を確認する際は、次の点を尋ねるとよい。

  • 出張理容・出張美容の実施者として、器具の消毒・作業衣やマスクの着用など、衛生管理要領に沿った対応をしているか
  • 発熱や体調不良時にサービス提供を見合わせる基準を持っているか
  • 施設に訪問する場合、施設側の感染対策(面会制限・検温等)の指示に従う運用になっているか

介護りびようさーちでは、検索条件の「対応可能な状態」から感染症対策が必要な方への訪問対応が可能な事業者を絞り込める。具体的な確認事項は感染症対策が必要な方への訪問対応、届出・資格の確認方法とあわせた制度の全体像は理美容業の届出制度のしくみで解説している。

なお、本記事で扱う感染対策はあくまで理容師法・美容師法の枠組みにおける衛生管理であり、医療行為ではない。発熱時の受診要否や感染症の治療・療養方針の判断は、かかりつけ医・訪問看護・訪問診療など医療機関の専門的な判断が必要な領域であり、訪問理美容事業者や本記事の説明はこれに代わるものではない。体調に不安がある場合は、まず主治医や訪問看護・訪問介護の担当者に相談してほしい。

07利用者・家族が感染対策を確認するときの具体的な質問例

感染対策の状況を事業者に確認したいとき、専門的な用語で尋ねる必要はありません。次のような具体的な質問をすると、事業者の対応方針を把握しやすくなります。

  • 「はさみやくしなどの器具は、利用者ごとに消毒・交換していますか」
  • 「タオルや布片は毎回新しいものを使っていますか」
  • 「施術のときはマスクを着用してもらえますか」
  • 「体調が悪いスタッフが訪問することはありませんか」
  • 「感染症が流行している時期の対応方針(施術の延期基準など)はありますか」

これらは、厚生労働省の衛生管理要領や全国訪問理美容協議会のガイドラインで求められている内容に沿った確認事項です。事業者がこうした質問に具体的に答えられるか、あるいは自社の衛生管理の方針を説明できるかどうかは、安心して任せられる事業者かを判断する一つの材料になります。回答が曖昧だったり、確認を嫌がったりする場合は、他の事業者と比較検討することも考えましょう。

08施設で受け入れる場合に確認しておきたいこと

高齢者施設が外部の訪問理美容事業者を受け入れる場合は、施設内の感染対策ルールとの整合を確認しておくことが重要です。施設には、外部から出入りする事業者に対する独自の感染対策の取り決め(体調確認、手指衛生、マスク着用、施術スペースの換気など)を設けているところが多くあります。

訪問理美容の事業者にも、こうした施設のルールへの協力を依頼し、事前に取り決めておくことで、施設内での感染リスクを抑えられます。厚生労働省が公表している介護現場の感染対策の手引きでも、施設系サービスでは外部の理美容従事者を含む出入り業者との連携において、標準予防策の徹底が求められています。

専用の理美容室がない施設でも、共同リビングや居室で出張理美容が行われるケースは少なくありません。施術場所の換気、器具や毛髪等の廃棄物の処理、他の入居者との動線などを事前に事業者と相談しておくと、安全でスムーズな受け入れにつながります。感染症の流行期には、施術の延期基準についても施設と事業者の双方であらかじめ取り決めておくと、判断に迷わずに済みます。

09なぜ訪問理美容に固有の感染対策が必要なのか

訪問理美容の感染対策が、店舗(理容所・美容所)での施術以上に丁寧な配慮を必要とするのには理由があります。訪問先である自宅や介護施設には、高齢で持病のある方、免疫力が低下している方が多く暮らしており、感染症が広がった場合の影響が大きいためです。

店舗であれば、消毒設備や洗髪設備、換気設備があらかじめ整った環境で施術できますが、訪問先ではそうした設備が十分でないこともあります。だからこそ、施術者は消毒済みの器具や使い捨て用品、消毒薬などを携行し、訪問のたびに衛生的な環境を再現する必要があります。厚生労働省の「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」が、器具の携行や利用者ごとの布片交換を求めているのは、この「設備のない場所で店舗と同等の衛生を保つ」という訪問特有の事情を踏まえたものです。

また、施術者自身が感染症の媒介者にならないよう、体調管理や健康診断も重視されます。利用者・家族としては、こうした訪問特有のリスクを理解したうえで、事業者の感染対策の姿勢を確認することが、安心して施術を受けるための第一歩になります。

10感染症流行期の対応方針を事前に取り決めておく

インフルエンザや新型コロナウイルス、ノロウイルスなどの感染症が流行する時期には、平時以上に慎重な対応が必要になります。訪問理美容を継続的に利用している場合や、施設で定期的に受け入れている場合は、流行期の対応方針をあらかじめ事業者と取り決めておくと、判断に迷わずに済みます。

具体的には、利用者本人や同居家族、施設の入居者に発熱や風邪症状がある場合の施術の延期基準、施術者側に体調不良がある場合の対応、流行期に追加で行う感染対策(マスクやフェイスシールドの着用、換気の徹底、器具の消毒強化など)について、事前に確認しておくとよいでしょう。全国訪問理美容協議会のガイドラインでは、発熱や呼吸器症状がある場合にサービス提供を控える目安が示されており、事業者もこうした基準に沿って判断することが期待されます。

利用者・家族側でも、体調がすぐれないときは無理に施術を受けず延期する、施術前後に室内を換気するなど、できる範囲で協力すると、感染リスクを抑えられます。感染対策は事業者だけでなく、利用者・家族・施設が協力して初めて実効性が高まるものだと捉え、流行期には特に丁寧に確認し合うことが大切です。

感染対策は、目に見えにくく確認しづらい部分ですが、事業者に具体的に質問し、その回答を通じて姿勢を見極めることができます。法的な衛生管理と業界団体の実務基準という2層の枠組みを理解したうえで、利用者・家族・施設が協力して確認・対策を行うことが、安全に訪問理美容を利用し続けるための基盤になります。

11まとめ:2層の枠組みを理解し、協力して感染対策を確認する

訪問理美容の感染対策は、厚生労働省の衛生管理要領という法的な最低基準と、全国訪問理美容協議会のガイドラインという業界団体の実務基準の2層で成り立っています。訪問先には高齢で持病のある方が多く、店舗と違って設備が十分でない環境で施術するため、店舗以上に丁寧な衛生管理が求められます。

利用者・家族としては、器具の消毒・交換、布片の交換、マスク着用、施術者の体調管理といった基本的な対策が行われているかを、具体的な質問で確認できます。施設で受け入れる場合は、施設の感染対策ルールへの協力を事業者に依頼し、施術場所の換気や廃棄物の処理を事前に取り決めておくことが大切です。感染症の流行期には、施術の延期基準をあらかじめ確認しておくと、判断に迷わずに済みます。

感染対策は事業者だけで完結するものではなく、利用者・家族・施設が協力して初めて実効性が高まります。2層の枠組みを理解したうえで、事業者の姿勢を確認し、できる範囲で協力し合うことが、安全に訪問理美容を利用し続けるための基盤になります。

FAQ

このガイドのよくある質問

はい。厚生労働省の「理容所及び美容所における衛生管理要領」(令和6年6月26日改正)で、感染症法により就業が制限される感染症にかかっている従業者等を業務に従事させないことが定められています。また訪問(出張)特有の内容として「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」で器具の消毒や作業衣・マスクの着用等が定められています。
全国訪問理美容協議会のガイドラインでは、37.5度以上の発熱や強い倦怠感、4日以上続く風邪症状がある場合はサービス提供を控える目安とされています。実際の対応可否は事業者ごとに確認が必要です。発熱の原因や受診の要否については医療機関・訪問看護に相談してください。
訪問理美容事業者の衛生管理要領に基づく対策とは別に、訪問先の施設が定める面会制限・検温等のルールにも従う必要があります。施設向け出張美容の仕組みは「施設向け出張美容室の仕組み」ガイドで解説しています。
法的な最低基準(衛生管理要領)は共通ですが、全国訪問理美容協議会のガイドラインのような具体的な運用(消毒頻度、換気時間、体調記録等)をどこまで実践しているかは事業者により差があります。依頼前に何を根拠にした対策かを確認するとよいでしょう。
感染対策そのものとは別に、理容師・美容師としての免許や出張理容・出張美容の実施要件を満たしているかの確認も重要です。届出・資格の確認方法は別ガイドで解説しています。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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