ショートステイ(短期入所)の利用中でも、散髪を受けられることはあります。滞在先の施設に訪問理美容の日があり、その日が滞在期間と重なっていて、短期利用の方も申し込める決まりになっていれば受けられます。費用は介護保険の1〜3割負担の対象ではなく、「理美容代」として別に支払います。

先に、要点をまとめます。

  • 散髪を受けられるかは、滞在先の施設に理美容の日があるか、その日が滞在と重なるか、短期利用の方も申し込めるかの3つで決まります。たとえば大阪市立弘済院第2特別養護老人ホームの短期入所生活介護の重要事項説明書(2026年8月版)には、「1ヶ月に1回訪問理髪業者による理髪や美容サービスをご利用いただけます」と書かれています。
  • 費用は介護保険の給付の外です。厚生労働省の運営基準は、ショートステイの事業者が利用者から受け取れる費用のひとつに「理美容代」を挙げ、あらかじめ内容と費用を記した文書を渡して説明し、同意を得ることを求めています。
  • 自治体の訪問理美容の助成券は、ショートステイ先では使えない場合があります。江戸川区の障害者向けの福祉理美容サービスは「ご自宅への出張によるサービスのみ対象」で、ショートステイ先は対象外と案内しています。

「来週から1週間ショートステイに行くけれど、髪が伸びて目にかかっている」「施設に美容の日があると聞いたが、短期の利用でも頼めるのか分からない」。ショートステイは短期間の滞在なので、普段の散髪の予定とずれることがあります。この記事では、滞在中に散髪を受けるための確認事項と費用の払い方、受けられない場合に滞在の前後どちらで整えるかの決め方を整理します。

ショートステイ中でも、散髪は受けられるのか?

滞在先の施設が訪問理美容を受け入れていて、その実施日が滞在期間と重なり、短期利用の方も申し込める決まりになっていれば受けられます。どれか1つでも当てはまらなければ、滞在の前後に自宅で整える日程を組みます。

特別養護老人ホームなどに併設されたショートステイでは、入居している方のために、決まった日に訪問理美容の事業者が来ていることがあります。大阪市立弘済院第2特別養護老人ホームの短期入所生活介護の重要事項説明書では、「その他の介護保険給付対象外のサービス」の欄に、月1回の訪問理髪業者による理髪・美容サービスと、カット・パーマ・カラー・顔そりなどのメニューごとの料金が載っています(大阪市立弘済院第2特別養護老人ホーム 重要事項説明書(指定短期入所生活介護)、2026年10月確認)。

この例のように月1回の実施であれば、1週間程度の滞在では理美容の日と重ならないこともあります。また、施設の理美容の日を短期利用の方も使えるかどうかは、法令で決まっているものではなく、施設ごとの運用です。散髪を受けたい場合は、ショートステイの予約を入れるときに「滞在中に理美容の日はありますか。短期の利用でも申し込めますか」とあわせて聞いておくと、日程の見通しが立ちます。

なお、訪問理美容(出張理容・出張美容)は、病気や高齢などで理容所・美容所に行くことが難しい方を対象に、理容師法・美容師法の施行令で認められている出張の形です。施設で受ける場合も同じ枠組みで行われます。施設で受ける場合も含めた対象者の整理は、2026年3月の厚労省通知から出張理美容の対象要件を整理した記事にまとめています。

費用はだれに、どう払うのか?

散髪の費用は介護保険の給付の対象外で、全額が自己負担です。運営基準はショートステイの事業者が受け取れる費用に「理美容代」を挙げているため、施設の利用料とは別の項目として請求されるのが基本の形です。

ショートステイの利用料には、介護保険の1〜3割負担の部分と、食費・滞在費などの保険外の部分があります。厚生労働省の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)は、短期入所生活介護の事業者が利用者から受け取れる費用として、食事・滞在・特別な居室・特別な食事・送迎の費用とならべて「理美容代」を挙げています(第127条第3項第6号)。医療機関や介護老人保健施設などで行う短期入所療養介護にも、同じ「理美容代」の項目があります(第145条第3項第6号)。

同じ条の第5項では、これらの費用にかかるサービスを提供するときは、あらかじめ利用者または家族に「当該サービスの内容及び費用を記した文書を交付して説明を行い、利用者の同意を得なければならない」としています(e-Gov法令検索 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準、2026年10月確認)。重要事項説明書の保険外サービスの欄に理美容のメニューと料金が載っているのは、このためです。

実際の支払い方は施設によって分かれます。施設の利用料と一緒に月末にまとめて請求されるのか、理美容の事業者に当日その場で払うのか、施設が立て替えるのかは、契約前の説明で確かめます。費用の考え方は費用の仕組み|訪問理美容・フットケアは自費サービスで整理しています。理美容代は医療費控除の対象になるかという点は、訪問理美容の費用は医療費控除の対象になる?で扱っています。

予約の前に、施設に確認しておくことは?

理美容の日と滞在日、申込みの方法と締切、メニューと料金、支払い方法、体調が悪い日の扱いの5つを、ショートステイの予約や事前の打ち合わせのときに聞いておきます。

ショートステイを使う前には、利用の契約や重要事項の説明、日程や持ち物の確認の機会があります。散髪を希望する場合は、そのときに次の点をまとめて確認すると、滞在中に施設の職員と何度もやりとりせずにすみます。

確認すること聞き方の例確認できること
理美容の日と滞在日「滞在中に理美容の日はありますか」滞在中に受けられるか、前後に回すか
申込みの方法と締切「申込みは家族がしますか、施設がまとめますか。締切はいつですか」申込みの担当と、間に合う期限
メニューと料金「短期利用でも受けられるメニューと料金表を見せてください」カットのみか、顔そり・カラーも頼めるか
支払い方法「利用料と一緒の請求ですか、当日払いですか」現金を持たせる必要があるか
体調が悪い日の扱い「当日の体調で見送る場合はどうなりますか」見送りの判断をだれがするか、取消しの扱い

申し込むときは、普段の髪の長さの希望(「耳が出るくらい」「前髪が目にかからない長さ」など)を、職員や理美容師に伝わる形でメモに書いて持たせると、本人がうまく伝えられない場合にも助けになります。ケアマネジャーにも伝えておくと、次回以降のショートステイの計画に入れてもらいやすくなります。保険外のサービスをケアマネジャーとどう共有するかは、ケアマネジャー・施設スタッフとの連携で整理しています。

いつもの訪問理美容師に、ショートステイ先へ来てもらえる?

施設が外部の理美容師の受け入れを認めているかで決まります。提携している事業者がいる施設では、それ以外の事業者は受け入れていないこともあるため、事業者に頼む前に施設の了承を取ります。

自宅でいつも同じ訪問理美容師に切ってもらっている場合、ショートステイ先にも来てもらえれば本人は慣れた相手で安心できます。ただし、施設の中で施術するには、場所(居室か共用スペースか)、時間、ほかの利用者との動線、感染対策の手順などを施設と調整する必要があります。受け入れの可否と条件は施設が決めるため、家族から理美容師に依頼する前に、施設の相談員に「普段の理美容師に来てもらってもよいか」を確認します。

施設の了承が取れたら、理美容師には施設名と住所、来てよい日時、施術する場所、施設の窓口になる職員の名前を伝えます。施設が営業エリアに入っているかどうかも、このときに確かめます。施設の中で訪問理美容を受ける場合の考え方は自宅訪問と施設訪問の違いで、事業者側の届出や資格の確かめ方は訪問理美容事業者の資格・届出を確認する方法で整理しています。

自治体の助成券は、ショートステイ先でも使える?

使えるかどうかは自治体の要綱によります。自宅への出張に限っている制度では、ショートステイ先では使えません。使う予定がある場合は、滞在の前に担当窓口に確認します。

訪問理美容の費用を助成する制度は、市区町村ごとに対象者や使える場所が決められています。たとえば江戸川区の障害者向けの福祉理美容サービスは、東京都重度心身障害者手当や特別障害者手当を受給している在宅の方を対象に、出張の際に使える福祉理美容券を交付していますが、「ご自宅への出張によるサービスのみ対象」とし、理容店・美容店、入院先、ショートステイ先では使えないと案内しています(江戸川区 福祉理美容サービス(障害者)、2026年10月確認)。

助成券を使いたい場合は、滞在中に施設で受けるより、滞在の前後に自宅で受けるほうが制度に合うことがあります。お住まいの自治体の制度の探し方は訪問理美容に自治体の助成はある?対象要件と申請の流れを制度から整理で、障害者手帳や手当を対象にした制度の違いは障害者手帳があると訪問理美容の利用券がもらえる?で比べています。

滞在中に受けるか、前後に自宅で受けるか、どう決める?

滞在中に理美容の日があり、本人が慣れない場所でも落ち着いて座っていられるなら滞在中に、どちらかが難しいなら滞在の前後に自宅で受ける、という順で決めます。

ショートステイ中に散髪を受けるかどうかの判断の流れ。滞在中に施設の理美容日があるか、短期利用でも申し込めるか、助成券を使うか、本人が慣れない場所で落ち着いて座っていられるかを順に確認し、すべて満たせば滞在中に施設で、どれかが難しければ滞在の前後に自宅で受ける

判断の順番は次のとおりです。

  1. 滞在中に施設の理美容の日があり、短期利用でも申し込めるか
  2. 自治体の助成券を使う予定があるか(自宅への出張に限る制度なら、前後に自宅で)
  3. 本人が慣れない場所や初めて会う理美容師でも、落ち着いて座っていられるか

3つ目は、認知症のある方の場合に特に大切です。いつもと違う場所で、知らない人に刃物を持って近づかれることを怖がる方もいます。普段から散髪を嫌がりやすい場合の進め方は、認知症の方が散髪を嫌がるときの無理強いしない進め方で整理しています。

滞在の前に自宅で整える場合は、出発の数日前に予約を入れておくと、仕上がりを見てから送り出せます。滞在中の様子を見て決めたい場合は、帰宅後に予約を入れます。定期的にショートステイを使っている方は、毎回の滞在に合わせて散髪の時期を決めておくと、間隔がそろいやすくなります。

ショートステイ中の理美容で、頼めないことは?

訪問理美容の対象外になるのは、医療的なフットケア(糖尿病の足病変や巻き爪の医療処置など)、口腔ケア、入浴介助です。滞在中のこれらのケアは、施設の介護職員・看護職員や、医療機関・歯科の専門職に相談します。

ショートステイ中は、入浴や食事、排せつなどの介助を施設の職員が担います。施設に理美容師が来ている日でも、理美容師が担うのはカット・シャンプー・顔そり・整髪などの施術で、入浴の介助や口の中の手入れは含まれません。足の爪の巻き込みや傷、むくみなどがある場合の処置は医師・看護師の領域です。気になる症状があるときは、施設の看護職員に伝えるか、かかりつけの医療機関に相談します。

頭皮に傷や湿疹がある、薬の影響で出血しやすいといった事情があるときは、施術を受けてよいかを先に施設の看護職員やかかりつけ医に確かめ、理美容師にも伝えます。訪問理美容の範囲と医療・介護の職域の境目は、対象事業者とサービス範囲|医療的ケアとの線引きで詳しく扱っています。

この記事で持ち帰れること

  • ショートステイ中の散髪は、施設の理美容日・滞在日との重なり・短期利用の可否で受けられるかが決まる
  • 費用は介護保険の外の「理美容代」。運営基準により、施設は事前に内容と費用を文書で説明する
  • 自治体の助成券はショートステイ先では使えない制度があるため、使う予定があれば滞在の前後に自宅で受ける日程も考える

次にショートステイの予約や打ち合わせをするときに、「滞在中に理美容の日はありますか」と一言たずねてみてください。答えが分かれば、滞在中に頼むか、前後に自宅で整えるかをその場で決められます。